和歌山地方裁判所 平成5年(わ)288号 判決 1993年10月29日
本籍
和歌山市北出島八六番地の三〇
住居
和歌山市中之島一七一六番地
不動産仲介業
太田眞吉
昭和二四年四月二四日生
右の者に対する所得税法違反被告事件について、当裁判所は、検察官西浦久子出席のうえ審理し、次のとおり判決する。
主文
被告人を懲役一〇月及び罰金一五〇〇万円に処する。
右罰金を完納することができないときは、金五万円を一日に換算した期間被告人を労役場に留置する。
この裁判の確定した日から三年間右懲役刑の執行を猶予する。
理由
(罪となるべき事実)
被告人は、和歌山市田中町二丁目一五番地(平成三年五月三日の住居表示変更前は同町二丁目五〇番地)において、不動産仲介業を営んでいたものであるが、自己の所得税を免れようと企て、
第一 昭和六三年分の総所得金額が一九四九万〇八三三円で、これに対する所得税額が五三八万七六〇〇円であるのに、事業に係る実際の所得金額とは関係なく、ことさら過少な所得金額を記載した所得税確定申告書を作成して所得を秘匿した上、平成元年三月一五日、和歌山市湊通丁北一丁目一番地所在の所轄和歌山税務署において、同税務署長に対し、総所得金額が二八三万八九四一円、分離課税の土地等の事業所得金額が九万九八五〇円で、これに対する所得税額が二一万一五〇〇円である旨の虚偽の所得税確定申告書を提出し、もって、不正の行為により所得税五一七万六一〇〇円を免れ、
第二 平成元年分の総所得金額が六九三一万七四四四円で、これに対する所得税額が三〇二六万五〇〇〇円であるのに、前同様の手段により所得を秘匿した上、平成二年三月一五日、前記和歌山税務署において、同税務署長に対し、総所得金額が五六八万七五九七円、分離課税の土地等の事業所得金額が一四六万四〇〇〇円で、これに対する所得税額が一三七万九四〇〇円である旨の虚偽の所得税確定申告書を提出し、もって、不正の行為により所得税二八八八万五六〇〇円を免れ、
第三 平成二年分の総所得金額が九六二五万二二六三円で、これに対する所得税額が四三八六万七五〇〇円であるのに、前同様の手段により所得を秘匿した上、平成三年三月一四日、前記和歌山税務署において、同税務署長に対し、総所得金額が八七七万二一三七円で、これに対する所得税額が一五一万六五〇〇円である旨の虚偽の所得税確定申告書を提出し、もって、不正の行為により所得税四二三五万一〇〇〇円を免れ
たものである。
(証拠の標目)
判示事実全部について
一 被告人の当公判廷における供述
一 被告人の検察官及び大蔵事務官(三二通)に対する各供述調書
一 太田道代の検察官及び大蔵事務官(二通)に対する各供述調書
一 石橋美奈子(二通)、山西惠夫(二通)、山西良子及び森本芳宣の大蔵事務官に対する各供述調書
一 大蔵事務官作成の証明書(検甲九号)、調査報告書(検甲一一号)、査察官調査書(一八通)
一 検察事務官作成の電話聴取書
一 登記簿謄本(検甲一三号)
判示第一の事実について
一 大蔵事務官作成の脱税額計算書(検甲二号)、証明書(検甲六号)
判示第二の事実について
一 大蔵事務官作成の脱税額計算書(検甲三号)、証明書(検甲七号)
判示第三の事実について
一 大蔵事務官作成の脱税額計算書(検甲四号)、証明書(検甲八号)
(法令の適用)
被告人の判示各所為はいずれも所得税法二三八条一項、二項に該当するところ、情状によりいずれも所定刑中懲役刑及び罰金刑を併科し、以上は刑法四五条前段の併合罪であるから、懲役刑については同法四七条本文、一〇条により犯情の最も重い判示第三の罪の刑に法定の加重をし、罰金刑については同法四八条二項により各罪所定の罰金額を合算し、その刑期及び金額の範囲内で被告人を懲役一〇月及び罰金一五〇〇万円に処し、右罰金を完納することができないときは、同法一八条により金五万円を一日に換算した期間被告人を労役場に留置し、情状により、同法二五条一項を適用してこの裁判の確定の日から三年間右懲役刑の執行を猶予することとする。
よって、主文のとおり判決する。
(裁判官 荒木弘之)